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2018年9月 6日 (木)

[才市] 生れるさとは親のさと

ありがたいな
はらのなかでも ものをいう
わしがおやさま 大けなおやで
しゃばは おやのはら
うまれるさとは おやのさと
(『ご恩うれしや』, p.247)

 ちょっと不思議な,よく分からない口あいです.とりあえずは,次のような意味でしょうか.

ありがたいな.
私たちはこの娑婆で好き勝手なことを喋り散らしているが
私の親様である阿弥陀様は大きな親さまで,
 (そんな私たちを丸ごと抱き取ってくださっている).
この世界は,母親のお腹のなか
 (にいる赤ん坊のように阿弥陀さまに完全に包み込まれている).
そして,私も阿弥陀様の世界=お浄土に生れさせてもらう.
 (ちょうど,赤ん坊の生まれてくるのが母親の世界であるように)

 以下,順に見ていくと,まず,「腹のなかでも,ものを言う」.これが一番わかりません.誰が言うのでしょうか.さらに,「腹のなかでも」の「も」はどういうことでしょうか.「腹の外でも,ものを言っているが」ということか,あるいは,あまり意味のない,軽くつけられた「も」なのか・・・.

 一つの解釈は:腹の外(お浄土)で語られる真実の言葉こそ本当に「ものを言う」ことであり,腹の中(娑婆)では何を言っても嘘になるので,腹の中では言葉を慎むべきなのに,腹の中でも平気で喋り散らし,偽りの言葉を吐いている・・・.因みに,『ご恩うれしや』には各章に短い解説がついていますが,この章の解説は上のように味わっているようにも読めます(しかし,非常に圧縮して書かれているので,よく分かりません).

 別の解釈としては,阿弥陀様は腹の中でも(腹の中にむかっても)ものを言う・・・.つまり,浄土の世界は言うまでもなく,娑婆の世界にも親の声=お念仏は届いていると理解できるかもしれません.

 とりあえず,最初の解釈に従っておきました.

 次に,「わしが親さま,大きな親で,娑婆は親の腹」:これは一応分かります.阿弥陀様(親)が,この私を,しっかりと,完全に包み込んでくださっているということでしょう.嘘偽りをまき散らしながら生きている私をその世界ごと抱き取ってくださっている・・・.才市さんに,「娑婆の世界は 浄土の小庭」という口あいがありますが,それも同じように理解できるかもしれません.つまり,浄土という大きな世界の中に娑婆の世界が包み込まれているという味わいです.

 最後の「生まれるさとは親のさと」は,子供が必ず親のいる世界に生れてくるように,この私も,必ず阿弥陀様の世界(親のさと)に生れさせてもらう,ということでしょう.

 というわけで,とりあえずは,冒頭に記したように味わいましたが,しかし,やはり,よくわからない口あいです.ご教示をお待ちしています.


【補足】

『ご恩うれしや』(石見の才市顕彰会編).

「娑婆の世界は 浄土の小庭」: 全体はこちらを.

仏教で「親の腹」なんていうと「胎蔵界」などという言葉を連想しますが,この方面はまったく知りません.関係あるかないかを含めてご教示ください(でも,私には理解できないと思う ^_^;).

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