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2019年3月26日 (火)

[才市] 娑婆も浄土も みなひとつ

しゃばも浄土も みなひとつ
十方みじんせかいも わしがもの
なむあみだぶつ なむあみだぶつ
(『ご恩うれしや』, p.199)

 広大な世界と私とが一つになったような,神秘主義的体験にも似た壮大な世界が開けてゆくことを感じさせる口あいです.以前,「娑婆は 親の腹」という口あいをご紹介し,そこで,「娑婆の世界は 浄土の小庭」という口あいにも触れました.これらの先に,今回の口あいがあるように感じられますが,いかがでしょうか.

 『ご恩うれしや』の各章には短い解説が付されていますが,この口あいがある章の解説を次に引用します.改行を施し,4か所省略させていただきました(「・・・」の部分).

 才市は浄土という言葉を二つの意味に使っている.
 第一には,浄土とは如来さま(なむあみだぶつ)の世界である.如来のましますところはすべて浄土である.「しゃばも浄土もみなひとつ」であり「十方がみなごくらく」である.・・・この意味からすれば娑婆と浄土とをあえて区別する必要もない・・・.
 だが,第二には,やはりこの世は凡夫の境界で有り,私があさましい凡夫であることに変わりはない.この世の縁がつきてから参らせていただく「未来の浄土」はありがたい.・・・
 才市は浄土をこのような二つの意味にうけとめているが,娑婆と浄土の違いはさほど重要ではない.・・・ともに広大な「なむあみだぶつ」の中に生きることに他ならないのである.

【補足】
 『ご恩うれしや』:石見の才市顕彰会編・刊

 才市顕彰会編『ご恩うれしや』の編集を担当されたのは,才市顕彰会会員の藤谷法叡師です(願楽寺前住職で,随分前にご往生されました).才市さんの口あいを一つずつ書いた紙を畳の上いっぱいに広げて編集をされていたというお話を聞いたことがあります.各章の解説の筆者は明記されていませんが,法叡師であると伺っています.引用した解説は「14 浄土」の章に付されたもので,197--198頁にあります.

 まったくの余談ですが,「十方微塵世界」とは,“こまかな塵が無数に舞っているように十方(東西南北,上下,北東・北西・・・)に広がる無数の世界”という意味です.「微塵」というのは,“微小”というより“多数”という意味のようです.暗い部屋に一筋の光が差し込むと,光の通り道が光って見えて,よく見るとその中でたくさんの塵が舞っていますが,あんな感じでしょう.でも,私はこの言い方を聞くたびに「フェッセンデンの宇宙」(ハミルトン)というSFを思い出します.

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